広い広い宇宙の片隅に、よく似た二人の女の子がいました。

一人は、青いドレスをまとった地球ちゃん。
もう一人は、黄金色のベールをかぶった金星さん。
二人は「双子の惑星」と呼ばれていましたが、心の中ではお互いのことがうらやましくて仕方がありませんでした。
地球ちゃんは、遠くで神々しく輝く金星さんをじっと見つめていました。

「いいなぁ、金星さんは。あんなにキラキラして、誰からも『一番美しい』って愛されている。
それに比べて私は、表面がゴチャゴチャしていて、ちっとも落ち着かないわ」
その頃、金星さんもまた、青く澄んだ地球ちゃんをこっそり眺めていました。

「地球ちゃんは素敵ね。あんなにたくさんの生き物たちの声を抱えて、自分の思いを嵐や雨にして、
はっきり世界に伝えられるんですもの。
私はいつも厚いベールに隠れて、本当の気持ちを誰にも見せられないのに」
地球ちゃんは、自分の中の「音」に疲れていました。

あちこちで芽吹く命の音、波の音、そして人間たちの忙しない声。

「みんなが私に何かを求めてくる。
もし私が金星さんのように、静かで気品のある沈黙を手に入れられたら、どんなに楽かしら」
一方の金星さんは、自分の中の「熱」を持て余していました。

分厚い雲の下に閉じ込められた、行き場のない熱い想い。
「私はただ黙って輝いているだけだと思われているけれど、本当はもっと叫びたいの。
地球ちゃんのように、風を走らせて、自由に自分を表現してみたいわ」
ある日、地球ちゃんは金星さんの真似をして、静かにじっとしてみることにしました。
雲を止めて、風を消して、金色の絵の具で自分を塗ってみたのです。

でも、そうすると、中に住む生き物たちが元気をなくしてしまいました。

「これは、私じゃないみたい……」
同じ頃、金星さんも地球ちゃんの真似をして、大きな扇風機で自分のベールを吹き飛ばそうとしました。

でも、ベールがなくなると、自分を守る温かさが消えて、凍えてしまいそうになりました。
「はっきりと見せすぎると、私は私でいられなくなっちゃうのね」
二人は宇宙の境界線で、ふと目が合いました。
そして、勇気を出して打ち明けてみたのです。



二人はお互いの手を取り合い、驚きで目を丸くしました。
「私の生き方も、誰かの希望になっているのね」
地球ちゃんは嬉しそうに言いました。
誰かの想いに応え、自らの想いも形にし続ける彼女は、いつの間にか周りに【光】を届けていたのです。
「私の沈黙も、誰かを優しく照らすための光だったのね」
金星さんも微笑みました。
厚いベールがあるからこそ、彼女は誰よりも熱く、強く輝き続けることができるのです。
二人は自分だけの美しさを認め、広い宇宙でこれまで以上に眩しく輝き始めました。

「わたしはわたし。それが一番、最高に素敵!」


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